
■ はじめに
「売上もある、利益も出ている。それなのに、なぜ資金が足りないのか…?」
これは実際によくある悩みです。そして最悪の場合、「黒字倒産」という形で会社が潰れてしまうことも。
この原因は、**資金繰りの“構造ミス”**にあります。
とくに注意すべきなのが、納税のタイミング。毎月順調でも、法人税や消費税の納付月に一気に資金がショートするケースが後を絶ちません。
今回は、黒字でも危険な資金繰りの落とし穴と、見落とされがちな納税リスクについて解説します。
■ 利益がある=お金がある、ではない
「黒字=お金が残っている」というのは、大きな誤解です。
会計上の“利益”は、売掛金や未回収分も含めた数字。
一方、資金繰りで必要なのは、実際に手元にある現金です。
たとえば:
- 売上1,000万円
- 経費800万円
- 利益200万円
でも、売上1,000万円がまだ回収できていなければ、現金はゼロ。
経費800万円の支払いだけが先に発生し、資金が足りなくなります。
■ 資金繰り表がないと「納税の罠」にハマる
法人税や消費税は、利益が出ていれば問答無用で課税されます。
- 法人税:事業年度終了後、2~3カ月で納付
- 消費税:2年前の売上が1,000万円超なら課税事業者に(免税明けで要注意)
- 中間納税や予定納税:利益が出るほど前払いが発生
そのため、資金繰り表を作っていないとこうなります:
「黒字だし、まぁ大丈夫だろう」と思っていた
↓
決算後にドカンと法人税がくる
↓
「今月の支払いに回すはずだった資金が消える」
↓
資金ショート
さらに消費税は、預かっていたつもりの現金を使い込んでしまっていることも多く、納税時にパニックになる要因です。
■ よくある「構造ミス」のパターン
- 支払いが先、入金が後
- 外注費・仕入れ・人件費などが先行し、売上は月末〆翌月末入金
- 売上が上がるほど苦しくなる
- 利益が残らない、税金だけ重くなる「忙しいのに現金がない」構造
- 固定費が増えたまま見直されていない
- 広告費、家賃、スタッフなど、売上減少に対応できない
- 納税額を予測せずに“今あるお金”を使い切っている
- 特に年1回の納税型法人で多発
■ 対策:キャッシュファーストの視点に切り替える
黒字でも潰れないためには、「利益」よりも「現金」の管理が最優先です。
- ✅ 月次で資金繰り表をつくる(入金・支払・納税の見通し)
- ✅ 決算前から納税額を試算して“残す金額”を確保
- ✅ 売掛金サイトを短くする、ファクタリングで資金化する
- ✅ 「税理士任せ」から「経営者も数字を把握」へ
■ まとめ
黒字でも倒産する会社には、共通点があります。
それは、「現金の流れ」を軽視し、「納税タイミング」の資金需要を見落としていること。
特に、消費税の免税明けや、利益が出ている年の法人税は、**後からやってくる“大きな一撃”**になりかねません。
資金繰りが構造的に不安定なままでは、どれだけ売上があっても安心はできません。
ノースファクタリングでは、資金繰りの改善や「借りない資金調達」についての相談も承っています。
「このままで本当に大丈夫?」と不安を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。