
■ はじめに
「北海道は土地も広いし、ライバルも少ない。やり方次第ではチャンスだらけだ」
──そう語る経営者も多い一方で、実際にやってみると「想定以上に厳しかった」と感じる人も少なくありません。
なぜなら、北海道でのビジネスには、**本州とは異なる“前提”**がいくつも存在するからです。
今回は、北海道で経営をする中小企業や個人事業主が、あらかじめ理解しておくべき5つのポイントを解説します。
これから創業を考えている方や、なかなか事業が安定しないと感じている方の参考になれば幸いです。
■ 1. 商圏は“思ったより狭い”と心得る
北海道の面積は日本全体の約22%を占めますが、人口は全国のわずか4%弱。
しかもその人口は札幌市に大きく偏っており、地方では商圏が非常に狭いのが実情です。
- 人口5万人未満の自治体が多数
- 車社会のため“距離の壁”も大きい
- 最近ではオンラインでの集客設計も必須
エリアマーケティングの精度と、時間をかけて自社商品を浸透させる持久力が重要。短期で結果を出す場合は、少ない客数でも利益を出せる高単価・高粗利モデルの設計が求められます。
■ 2. “人間関係の濃さ”が経営を左右する
都市部に比べて、地方は人のつながりが濃く、噂も広まりやすい傾向があります。
- 評判が良ければすぐに広がるが、悪評もまた然り
- いくら商材が良くても人としての関係が浅ければ新規参入は難しい
- 親密な関係がある反面、距離感の調整が難しいことも
ただし、一度良好な関係を築けば、簡単には切られない「情の厚さ」も、北海道ならではの特徴と言えるかもしれません。
■ 3. 納期リスクを見越したオペレーションを
北海道に本州から資材・部品・商品を取り寄せる場合、基本的に納期は「最低3日」。
そして、冬になると天候による遅延が発生しやすいことも忘れてはいけません。
- 台風、吹雪、フェリー遅延、JR不通などの影響
- 輸送コストの上昇、リードタイムの長期化
- 締切ギリギリで回していると大きな損失になることも
**「間に合って当然」ではなく、「遅れる前提で段取りする」**という意識が必要です。
物流を支えるパートナー企業の選定も、都市部以上に重要です。
■ 4. “冬”はリスクでもあり、チャンスでもある
北海道の冬は、厳しく、長い。
だからこそ、冬の捉え方次第で経営は大きく変わります。
- 観光・レジャーなど季節よって閑散期になるビジネスも多く存在する。
- 一方で「除雪・排雪業」「暖房・除雪設備の販売や点検」など、冬に強い会社も存在する
- 実際、夏と冬で事業を分けている経営者も少なくありません
寒さを“経営の停滞要因”とみなすのではなく、ビジネスチャンスとして設計できるかどうかが分かれ道になります。
■ 5. 雇用と採用は“コストではなく投資”と捉える
北海道は全国的に見ても労働力確保が難しい地域です。
特に地方都市や町村部では、若年層が少なく、即戦力人材を求めるにも限界があります。
- 求人広告を出しても応募がゼロ
- 採用できても離職率が高い
- 教育リソースがなく育てられない
このような状況に陥りやすいため、人を採るより“任せ方”を整えることの方が重要です。
外注や業務委託、マニュアル化、ITツールによる省人化を戦略的に活用していく必要があります。
■ まとめ:土地の特性を“逆手”にとって勝つ
北海道は、確かに不利な条件が多い土地かもしれません。
でもそれは、「本州の常識を当てはめようとするから」厳しく感じるのです。
- 商圏が狭い → 意外なブルーオーシャンが見つかるかも
- 人間関係が濃い → 新規参入されにくい
- 雪と寒さ → 他の地域にない季節ビジネスを生む
- 納期が遅い → 地場の企業と連携することで差別化できる
地域の特性を“制限”と捉えるのではなく、“戦略”に変えていく。
それが、北海道で経営を続けていくための本質です。
ノースファクタリングでは、北海道の中小企業の資金繰りや事業見直しの相談にも対応しています。
地域に根ざした経営支援が必要な方は、ぜひご相談ください。