
■ はじめに
「とりあえず続けてる」「やめたら悪い気がする」
そんな気持ちで、赤字のサービスや取引先を何となく続けていないでしょうか?
経営の世界では、「続ける勇気」よりも「やめる決断」のほうが難しいことがよくあります。
なぜなら、“やめる”という行為には、失敗のような感覚がつきまとうからです。
しかし、現実には──
やめなかったことによって経営が苦しくなり、事業全体が倒れてしまうケースも珍しくありません。
今回は、「やめる判断」がなぜ経営を楽にし、未来を切り開くのかについて、具体例を交えながら解説します。
■ なぜ“やめられない”のか?
経営者が「やめたほうがいい」と頭ではわかっていても、実行に移せないのはなぜでしょうか?
主に以下のような心理的・感情的な要因が関係しています。
- 埋没コスト:「ここまでかけた時間とお金がもったいない」
- プライド:「やめたら失敗だと思われるかも」
- 人間関係のしがらみ:「古くからの付き合いだから断れない」
- 恐れと不安:「やめたら収入が減るかも」「代わりが見つからなかったら…」
- 周囲への配慮:「社員や家族、スタッフにどう説明すればいいのか」
どれも共感できる理由ですが、これらに縛られて「やめるべきこと」を延々と続けてしまうと、経営がジワジワと蝕まれていきます。
■ 続けることで失っているもの
やめないことは、必ずしも守ることではありません。
実際には、やめないことで失っているものがたくさんあります。
1. 経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)
不採算の商品や利益率の低いサービスを続けていると、
その分の在庫管理・対応・人件費がかかり、本来注ぐべき事業に資源が回りません。
2. チャンス
やめないことでスケジュールが埋まり、新たな高単価案件や魅力的な取引に対応できなくなることもあります。
3. 精神的なゆとり
「やらなきゃ…」と思いながら続けている業務は、心のエネルギーをじわじわと消耗させます。
やるべきことに集中できない状態は、経営判断にも悪影響を与えます。
■ よくある“やめるべきなのに続けている”例
以下は、経営者が無意識に抱え込みがちな「やめるべき対象」です。
- 利益が出ていない商品やサービス(値下げ合戦に巻き込まれた案件など)
- 取引条件が悪く、対応に時間がかかる顧客(支払いが遅い、トラブルが多い)
- 社員が辞めた後に残された業務(本来は人がいて成り立っていた)
- 「いつか黒字化する」と期待してずっと続けている新規事業
これらを「長年の付き合い」「過去の成功体験」「情」で引きずってしまうと、
事業全体に負担がかかり、残すべきものまで悪化していきます。
■ やめる判断をするための3つの視点
① 感情ではなく「数字」で見る
- 月ごとの損益
- 時間あたり利益
- 継続にかかる人件費・在庫・工数
数字で見ることで、感情を切り離して冷静な判断ができるようになります。
② 「段階的にやめる」「止めるではなく“整理する”」という選択
いきなり全部やめる必要はありません。
- 一時休止する
- 新規受付だけ止める
- 条件を変えて継続可否を再検討する
など、“中間的な引き際”も戦略の一つです。
③ 残すことで、何が犠牲になっているかを考える
「やめることが怖い」ときは、逆にこう問いかけてみてください。
「これを続けることで、何を失っているだろう?」
それが時間かもしれないし、収益かもしれないし、家族との時間かもしれません。
■ まとめ:やめることは、前に進むこと
「やめる」は、逃げではありません。
むしろ、**守るべきものを守るための“戦略的な撤退”**です。
経営は選択の連続です。
全部は抱えられません。だからこそ、何を手放し、何に集中するかが重要になります。
「これはもうやめてもいいかも…」と思ったときが、見直しのタイミングかもしれません。
ノースファクタリングでは、事業の見直しや資金繰り改善の相談も受け付けています。
「やめるべきか、残すべきか」悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。